新型コロナウイルス禍でのお葬式
昨今の情勢で、葬儀の形式は大きく様変わりしました。
2020年中では、目に見えないウィルスを探り探りしながら、いろいろな対応策や試みのもとに、多様なお葬式が執り行われてまいりました。
コロナ禍におけるお葬式のありかたの変化
2021年秋、感染が拡大した夏を乗り越え、ワクチン接種がすすむ中、最近のお葬式の様子はどうなっているでしょうか。
2020年は、三密の回避を念頭に、マスク着用の常態化,手指消毒の励行,検温などを行い、夏から秋頃までは、100人近い参列のあるお葬式も珍しくはありませんでした。
2021年にかけて、お通夜の前に時間をとってお別れの場を設ける「事前焼香(献花)」が行われるようになり、一年後の現在では、「完全密葬」よりも「一般焼香(献花)と家族葬による通夜・葬儀」というやり方が主流となっています。
お食事の様式の変化
飲食に関しては、早い時期から個別での食事が推奨され、オードブルなどの大皿料理は提供されなくなりました。替わって使われるようになったのが、お寿司やお弁当などの「折り詰め」です。お通夜の後、式場で食べることも、食べずに持ち帰ることも可能だからです。
しかし、コロナウイルスの変異株が流行りだすと、持ち帰りのお弁当などを式場で召し上がる方は、ほとんどいなくなりました。
今夏、東京オリンピックも終わり、10月頃までに多くの方がワクチン接種を済まされて、新規感染者数が激減したこの頃では、席を離したり、アクリル板を設置するなどして、お通夜振舞やお斎といった食事の席を設ける方も増えてまいりました。
御参列の形の模索
新型コロナウイルスの感染が報道され、世に出てから、もうすぐ二年が経とうとしています。
その間、多くの方のお葬式を執り行ってきたなかで、近しいご家族が感染流行地域にお住まいという方もたくさんおられました。
ご家族間で話し合われ、参列をあきらめたお孫さんや、ご兄弟たちであったり、時にはお子さんですら、お顔を拝めないこともありました。リモートで参列した方もいらっしゃいました。ご家族がスマートフォンを持って、最後のお顔をお伝えになっていらっしゃいました。
体調を考慮しつつ、最後だけはといらっしゃる方も、たくさんおられました。入院中、一度もお顔を合わせることが叶わなかったのですから無理もありません。
制限の中でのサポート体制
どのような場合でも、安心してお葬式をあげていただくため、式場や霊柩車の消毒をはじめ、全力でサポートをさせていただきました。
これまで数百件のお葬式を施行する中で、感染者が出ていないのは、ご遺族様、参列されたすべての皆様の感染防止への意識と取り組みのおかげです。
そして、コロナ禍においても当社が変わらず取り組んで参りましたのが「ご納棺式」です。マスクを着用したままで、お部屋の換気に気を付けながらではありますが、従来通りに時間をかけて、ご遺族様と一緒に、故人との最後のふれあいの儀式ですので、丁寧に納めさせていただいて参りました。
時にはご遺族様がお一人で、二人っきりのご納棺の時もありました(お納めする時には手伝いの者が参りますが)。
「誰も呼ぶことができなくて寂しいお葬式になったけど、あなたと二人で一生懸命納棺したことが忘れられない。」と、おっしゃって頂いたこともありました。
お葬式がどのような形式になっても、いずれの宗派であっても、これからも「まごころ」の「ご納棺式」を心がけて参ります。